光受容体CarHの構造解析によるビタミンB12の新規機能の解明

村木 則文
(自然科学研究機構分子科学研究所 生命錯体分子科学研究領域 特任助教)

2014年10月24日金曜日

やさしい科学技術セミナーの報告です

1020日(月)に河合中学校で全校生徒75人を対象に「結晶学入門 ~分子のかたち、私たちのかたち~」というタイトルで、やさしい科学技術セミナーを行いました。
結晶学入門というタイトルは堅苦しいかなと思ったのですが、中学生の頃を思い返してみると、結晶というのは理科の授業で出てくる一つの現象に過ぎず、それが学問として成り立っているというのはあまり考えなかったものです。そこで、最初に思いついた「結晶学入門」というタイトルを残しました。



セミナーのはじめに黄鉄鉱とアメジストを生徒に見て、触ってもらいました。ビデオや写真を見直すと、意外と好評だったようです。どちらも個人的に収集したもので、こんなときに役立つとは思いませんでした。

実験は前回のブログにも載せたように、酢酸ナトリウムの結晶化実験です。ひとかけらの結晶核から、結晶が瓶全体に成長する様子を見て、歓声があがっていました。実験で歓声をあげる姿は非常に新鮮でした。研究者のみなさん、実験結果を見て歓声をあげたことってありますか?
好奇心や情熱が大事だと言っているものの、大人になると失ってしまうものですね。

後半では、X線結晶構造解析の話をしました。やはり中学生には難しかったようです。実験して見せたいところなのですが、中学校の体育館でエックス線実験をするわけにはいきませんので。

終盤、私の専門であるタンパク質の結晶構造の話をしたのですが、中学生に何をどこまで話せば良いか悩みました。今回はヘモグロビンを例に出したのですが、身近なタンパク質なので興味をもってもらえたかと思います。

最後が説教臭くなってしまって(大誤算)、しまった!と思ったのですが、何人か質問に来てくれた生徒がいてホッとしました。



理科嫌いの子供が増えていると話題になっていますが、結晶が出たときの生徒の歓声を聞く限り、悲観しなくてもいいのではと感じました。いつまでも、その感性を大事にしてほしいと思います。


最後となりましたが、岡崎市立河合中学校の河野先生には授業の段取りや会場設営をはじめ、大変お世話になりました。本当にありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。
また、当日は何名かの先生にもご参加いただきました。生徒へのフォローなど、ご協力ありがとうございました。

2014年10月3日金曜日

中学校訪問と結晶成長実験

やさしい科学技術セミナーを控えて、会場の下見をさせてもらいました。

今回、岡崎市立河合中学校への出前授業として、セミナーを予定しています。
河合中学校はゲンジボタルの発生地として知られる河合地区にあり、
生徒のみなさんもホタルの保全活動をされています。




会場が体育館となり、実験用の設備がないので、
安全かつ、できるだけシンプルな実験を計画しました。
そこで準備したのが、酢酸ナトリウムの結晶化実験です。
結晶が成長する様子を見るには、数時間〜数日かかることが多いのですが、酢酸ナトリウムの過飽和水溶液を使うと数分で見ることができます。観察するには、ちょうど良い時間スケールです。

<予備実験一回目の様子>
過飽和溶液に微結晶を加えると

微結晶を種として結晶が成長します


このぐらいの大きさで止まるとキレイなのですが…

成長した部分を種として成長して、全体を埋めつくします
(全体を埋めつくすまで1、2分程度です)



今日は、より大きいスケールで予備実験の準備をして、
意気揚々と中学校に向かったのですが、失敗してしまいました。
輸送途中に結晶が出ないように濃度を低めにしたのですが、下げすぎたようです。研究室に帰ってから、再実験。

<予備実験2回目の様子>
微結晶を先端につけた棒を入れる


小さい結晶が析出する (棒の途中からも結晶が析出した)


大きくなった結晶は自重に耐えかねて落下


その結果、底でも結晶成長が進みます


最後は瓶全体に結晶が広がります

(ここまで3分程度)


1回目と2回目で結晶の析出の仕方が違っていて驚きました。
普段、扱っている生物試料(タンパク質)は非常に非常にデリケートなので、
わずかな条件の違いで結晶が出なかったりするのですが、
酢酸ナトリウムでもこのような差がでるとは思いませんでした。


それと、酢酸ナトリウムのような無機塩は冷やしたり、乾燥させれば結晶になってくれますが、タンパク質の結晶は、どのような条件で結晶になるかが全くわかっていません。
なんでも結晶化してしまう魔法の薬がないかなぁというのは、この分野の人なら誰でも一度は思うことです。
実現すれば、確実にノーベル賞ですよ!