光受容体CarHの構造解析によるビタミンB12の新規機能の解明

村木 則文
(自然科学研究機構分子科学研究所 生命錯体分子科学研究領域 特任助教)

2014年6月19日木曜日

夏の暑さとタンパク質研究

梅雨入りしたというのに、岡崎は晴天に恵まれていて、今日も暖かいです。人によってはちょっと蒸し暑く感じるかもしれませんが、私はこれぐらいがちょうど良いです。

では、研究材料であるタンパク質にとっては?
いうと、「熱」は大敵です。
たんぱく質を食品として食べるなら、煮ても焼いても乾燥させても良いのですが、生命科学の研究対象とする場合、熱で変性しないように気をつかいます。
卵を例にして、変性していない・機能をもった状態が生卵で、変性して機能を失った状態がゆで卵という説明をよくするのですが、鍋でぐつぐつ茹でなくても、室温でも多くのタンパク質は変性していきます。
そのため、タンパク質の研究室は冷蔵庫が多く、夏場は電気代がかさみます。

そんなタンパク質の研究者が集まる学会・蛋白質科学会が来週開催されます。
岡崎に赴任して初の学会参加となります(*)


また、学会の翌々日には、放射光施設SPring-8X線測定を予定しています。
SPring-8は電子を加速させて、磁場をかけることにより、強力な電磁波(X線)を出させる巨大な実験施設です。SPring-8は非常に厳密に設計されているので、温度変化による歪みが無いように施設内の温度はほぼ一定に保たれています。
電子を加速させるために非常に電力消費が多い施設ですが、夏場はさらに電気代がかさみます。
そのため、電力消費の多い7月半ばから9月にかけては装置を休止させています。
もちろん、その間はX線測定実験はできません。

夏の暑さはタンパク質研究には大敵です。




*今月の初めに生体分子科学討論会という小さなシンポジウムに参加・発表しています。

5 件のコメント:

  1. 結構大変なんですね~。でも、そうやって最高の状態でタンパク質を研究した成果って、現実の世界での有用性を
    どう判断したり実証したりするのですか?

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  2. その質問はまさに生命科学研究の核心を突いているんですよ!
    生命科学の研究は大別すると、試験管内(in vitro)と細胞内 (in vivo) に分けられます。
    (最近はコンピュータシミュレーションで行うin silicoというのもありますが)

    実際には、in vivoで見られた不思議な現象の原因を突き止めるために試験管内(in vitro)で確かめる、あるいは、in vitroで得られた結果が細胞内(in vivo)で起こるかを実証する、といったように双方を行き来して研究は進みます。
    それでも、in vitroとin vivoの間で実験結果に齟齬が出るは多く、生命科学が抱える大きな課題の一つとなっています。

    試験管内でも、できるかぎり細胞内に近い環境を作りたいのですが、様々な物質が混在した状態では、測定方法が限られてきますし、データの解釈も難しくなります。
    細胞を対象とする研究者も細胞内で起こっている現象の原因をなんとか確かめたいと試行錯誤しているのですが、使える実験手法に限界があるようです。

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  3. そうですか。。核心を突きましたか。。iPS細胞で、体の各部の細胞が比較的簡単に作れるようになれば、その辺の限界も少しは組しやすくなってくるということですか?

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  4. iPS細胞の技術が発展すれば、試験管内で各部の細胞を再現できる訳ですので(試験管が人体に近づくとでも言いましょうか)、ヒトやマウスを対象にした研究はかなりの進展が期待できます。
    とは言うものの、細胞の中が複雑であることに変わりはなくて、細胞の中で「何が」「どのような働きをしているか」を明らかにするには、異なる測定手法の開発や発展が不可欠でしょう。

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  5. 今年の受賞者のアリス先生の研究分野が関わってくるということですか?「何が」「どのような働きをしているか?」それが「何によって誘発されるのか?」といったことが正確に分からなければならないということですね。気の遠くなるような研究の積み重ねが必要ですね。
    1人の人間がデキル事ではないと思います。

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